日本が海を汚している!?「プラスチックごみ」の何がいけないのか?

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近年レジ袋を始めとする使い捨てプラスチック製品の削減の動きが世界レベルで出てきています。そこには、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」が深く関係しています。世界では毎年約900万トンものプラスチックごみが流出しており、日本もこれに加担しています。海洋プラスチックごみ汚染による海の生き物への影響はすでに深刻化し、人間への影響も懸念されます。一昔前は、「プラスチックごみってリサイクルできるから、エコ」と言われていました。ですが、日本のプラスチックごみの実際のリサイクル率は25%。これからはプラスチックのリサイクルのみならず、使う量・買う量を減らすことを含めた消費者の4Rに基づいた行動が求められます。世界では国レベル、企業レベルで大きなシフトチェンジが始まっているのです。

プラスチックごみの現実

近年、プラスチックごみは環境によくないとよく耳にするようになりましたが、なぜそう言われるのでしょうか?一方では、「プラスチックはリサイクルできるからエコなんだ」という声も耳にします。今回は、実際にプラスチックごみの何が問題なのか、そして環境にどんな影響を与えているのか、実際リサイクルはどのくらいされているのかについて考えてみたいと思います!

海洋プラスチックごみ

プラスチックごみに関して、最も深刻な環境問題の1つとして挙げられるのは、”海洋プラスチック問題”です。私たちの生活と切っても切れない海がプラスチックごみによって深刻な影響を受けているのです。

実は、海洋ごみの中で最も多くを占めるのがプラスチックごみであり、その割合はなんと!約66%にも及ぶのです。世界の海洋中のプラスチックごみがこのまま増え続けるとどうなると言われているかご存じですか?
「2050年には海洋中のプラスチックごみが魚の量を上回る」
これは、”魚が海で泳いでいるとそこら中にプラスチックごみがある”という状況です。
この現状を伝える映画として「プラスチック・オーシャン」という作品や、国際環境NGOグリーンピースジャパンがYouTubeで公開している「未来の水族館へようこそ」という動画があります。この「未来の水族館へようこそ」という動画は私たちが今、何不自由なく見れている水族館の海の生き物たちを未来の子どもたちは見られなくなるかもしれないということを訴えかけています。

でもこれって遠い未来のことなのでしょうか?
実はもう起こっているんです
世界では毎年900万トンのプラスチックごみが海に流出しています。国際環境NGOグリーンピースジャパンによると、毎分トラック1台分のプラスチックごみが海に流出されています。
海のプラスチックごみ汚染は未来の話ではなく、すでにもう起きている問題なのです。

出典:https://youtu.be/4wH878t78bw

 

その事実を私たちに突き付けたショッキングなニュースがありました。それは、南米コスタリカ沖でなんと鼻にストローが刺さってしまったウミガメが発見されたというものです。
このニュースは本当に氷山の一角にすぎず、人間が出したプラスチックごみが海の生き物たちの命を脅かしてしまっているのです。

 


では、私たち人間に影響はあるのでしょうか?
あります!どういうことかというと、海の生き物が影響を受けるということは、食物連鎖によってその生き物たちを食べる人間たち自らがプラスチックを体内に入れてしまうことが起こるのです。

どうやって入ってくるのかというと、「マイクロプラスチック」というものが関係しています。
海に漂うプラスチックは波と紫外線の影響を受けて5㎜以下の小さなマイクロプラスチックになります。

出典:https://lessplasticlife.com/marineplastic/source/microplastics_sources/

 

石油からできている(マイクロ)プラスチックは油に溶けやすい有害物質が付きやすい性質を持っていて、魚がこの有害物質が付いたマイクロプラスチックを誤って食べると、この有害物質を体内に取り込むことになります。食物連鎖の過程でこれが繰り返されると、有害物質の濃度が高くなりこれを食べた人間にも影響を及ぼす恐れがあると言われています。
海外の研究では実際に人間の排泄物の中からマイクロプラスチックが見つかっているそうです。

プラスチックごみは本当にリサイクルされているの?

でも、これまで「プラスチックはリサイクルされるからエコだ」と言われてきたと思います。
しかも、「分別だってしっかりしてきた」そう思うことも多いと思います。

〈※リサイクル:資源を再利用して新しい製品をつくること。例)プラスチック製品→ペットボトル、容器等〉
ですが、日本のプラスチックごみが実際にどれくらいリサイクルされているかご存じですか?
実は、、、”25%”しかリサイクルされていないのです!
残りの67%は焼却、8%は埋立処理がなされています。(NHK家庭総合より)

この焼却される67%の中には熱回収と呼ばれる燃やすときに発生した熱エネルギーを発電に使て有効活用する方法も取られていますが、この熱回収は国際的にはリサイクルとは認められていません。
その理由は、石油からできているプラスチックを燃やすと二酸化炭素が発生し、さらにはプラスチックとして再利用することにはならないため、”リサイクル”そのものの意味にはなっていないからです。
しかも、プラスチックを焼却するときは、低温で燃やすと有害な物質が発生するため、高温で燃やすことが必要であり、そのごみ焼却炉はおよそ100億円、その焼却炉の寿命は30年しか持たないのです。

出典:https://kaitai-maruwakari-navi.com/column/1969/

 

埋立については、廃棄量の増加でその埋立地のキャパシティが近い将来限界を迎えると予想されています。また、自然の環境下ではプラスチックが分解されるには、400年以上かかると言われています。
これらのことから、海洋プラスチックごみの問題は、街中にポイ捨てされたプラスチックごみの問題にとどまらず、プラスチックごみが大量につくられ、使用、廃棄されること自体にも問題があると言えます。このような流れから、プラスチックごみ全体を減らしていこうという流れが生まれています。

プラスチックごみを減らす世界の流れ

出典:https://sustainablejapan.jp/2018/06/13/unep-single-use-plastics/32586


前に述べたように、プラスチックによる環境問題は実際に目に見える形で起こってきています。その現実を受けて、世界ではプラスチックごみを減らす取り組みが始まっています。
フランスでは2016年から使い捨てレジ袋が禁止されました。また、EU圏内はかなりこのプラスチック汚染の問題に積極的に取り組み、2021年からストローや容器、スプーンなどの使い捨てプラスチック使用を禁止する法案が可決されました。
インドでは、2022年までにすべての使い捨てプラスチックを全面禁止する政策を始めています。


地域差や国の問題意識の差などによって、プラスチックごみ汚染への対応にはかなり差があるようですが、プラスチック製レジ袋の使用規制には多くの国が乗り出し始めています。

しかし、太平洋に多くのプラスチックごみを排出している日本は、残念ながらプラスチック規制の面では世界に遅れをとっています。
日本でのプラスチック規制といえば、2020年7月から始まったレジ袋の有料化が挙げられますが、これ以外の国のプラスチック規制の政策は出ていないのが現状です。

日本とプラスチックごみ

では、私たち日本はプラスチックごみ汚染とどのような関係にあるのでしょうか?ここでは、日本が与えている影響、受けている影響をそれぞれ見ていきたいと思います。

日本が与えている影響

まずは、それぞれのデータを挙げて日本の立ち位置を見てみましょう。
日本は1人あたりのプラスチックごみの廃棄量世界第2位
プラスチックごみの海への年間流出量世界第30位(先進国の中ではアメリカに続く2番目の多さ)。

出典:https://newswitch.jp/p/23237

また、海への年間流出量の上位を占めるのは中国や東南アジアの国々です。一見、日本とは関係がないように思われますが、これらの国は日本がプラスチックごみの輸出をしている国々なんです。これらの国々はもともと、安価な資源としてプラスチックごみを仕入れ、再利用して使っているのですが、プラスチックをリサイクルするには、その清潔さが肝心であるにもかかわらず、あまりにも入ってくるプラスチックごみの量が多すぎて管理が行き届いていない状況で、結局はリサイクルされずに捨てられてしまっているのです。近年はその問題が顕著になってきたので、輸入規制を行う国も増えてきました。しかし、裏を返せば、これは日本が自分たちの国で処理するプラスチックごみが増えたということです。日本はプラスチックごみ汚染の問題に関してかなり大きな影響を与えているといえます。しかし、日本が世界で2番目にプラスチックごみの廃棄量が多いという事実を知らない日本人がおよそ8割もいるのです。(オレンジページの調査より)

日本が受けている影響

日本は海洋マイクロプラスチックの問題を深刻に受けていると言われています。
実際にどんな影響を受けているのでしょうか?

出典:https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2018/06/22/619/


東京湾のマイクロプラスチックの研究によると、なんと東京湾のカタクチイワシ64匹中49匹からプラスチックの破片が見つかったそうです。(NHK家庭総合)
食物連鎖の過程で人間の体内にマイクロプラスチックが入ってくる時代はすぐそこだと言えます。また、日本周辺海域のマイクロプラスチックの存在量は世界の平均値よりも27倍も多く存在しているのです。これが、私たちの体内に入ってしまったら、、、と考えると恐ろしくなりますよね。マイクロプラスチックが体内に入ることの怖さはこれが体内に蓄積することによる身体への影響が今はまだわかっていないということにあります。このようなことからも、もうすでに日本でも海のプラスチックごみ汚染の悪影響は始まっていると言えます。

プラスチックごみ汚染を防ぐために私たちにできること

出典:https://www.city.sasebo.lg.jp/kankyo/kansei/gomidekiru.html

 

ここからは、海のプラスチックごみ汚染を防ぐために私たちが個人レベルでもできることを紹介していきたいと思います。昔は3R(リデュース・リユース・リサイクル)がよく叫ばれていましたが、近年は、これにリフューズ(Refuse)も追加された4Rが叫ばれるようになっています。それぞれについて見ていきましょう!

 

 

 

4R 意味
Reduce
(リデュース)
使わないで減らす パック詰め製品→量り売りの製品
ボトル買い→詰め替え用
Reuse
(リユース)
捨てずにくり返し使う フリーマーケットやリサイクルショップの活用
必要としている人に譲る/売る。
Recycle
(リサイクル)
資源を再利用して新しい製品をつくる プラスチック製品をペットボトルや、衣類、容器に作り替えやすくするために、きれいに洗って、しっかりと分別をする。
Refuse
(リフューズ)
拒否して減らす エコバックを使用し、レジ袋を断る。
マイストロー、マイカトラリーを使用し、受け取りを断る。

※マイカトラリー:食事用のナイフ、スプーン、フォーク、箸などの総称

私たちとプラスチック製品は切っても切れない関係で、なかなかゼロにすることは難しいかもしれませんが、より多くの人が少しずつでも使う量、買う量を減らすことが海の豊かさを守ることにもつながるのです。私たちが個人レベルでもできる
「エコバッグを使う」「プラスチックごみをきれいに洗って、分別して捨てる」ことを心掛けることによってプラスチックごみを使う量を減らすこと、また、リサイクル率25%を少しでも上げていくことが望まれます。

プラスチックごみ削減のための企業の取り組み

ここでは、世界を代表する企業の取り組みについて紹介したいと思います。

出典:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2009/25/news119.html

スターバックス
2020年までにプラスチックストロー廃止
2021年 一部のアイスドリンクのカップを紙カップに変更

出典:https://mitok.info/?p=104055

マクドナルド
2025年までにすべての店舗でのプラスチックストロー廃止&リサイクル可能な包装紙に変更

出典:https://pro-foto.jp/free/product_info.php/products_id/3244

米ディズニー
すべてのパークやリゾートで使い捨てストローとマドラー廃止

このように、日本も含めて世界では企業はSDGsの名のもとに自らの事業の中で環境へのアクションを始めています。

消費者が自ら行動することももちろん大切ですが、大きな影響力を持つ企業が積極的に行動に移すことによって自動的に消費者が環境に良い選択をする方向へと導き、結果的にプラスチックごみの削減につながると思われます。
このような企業に続いて、国内外の多くの企業が環境に配慮した事業活動を行う時代になっていくことが望まれます。

最後に

アメリカの先住民の考え方にこのようなものがあります。
「我々は将来の世代(子孫)から大地を借りて生きている」

私たちは日常の中で人からものを借りたとき、きれいに返しますよね。それが礼儀だと思っています。
アメリカの先住民の立場によれば、自然も同じなのです。今の自然は将来の世代から借りているもの。そうであれば、将来の世代にきれいに返すことは礼儀なのではないでしょうか。
自然の豊かさは私たちだけのものではありません。地球全体の、そして将来の世代のものでもあります。
将来の世代も私たちと同じように自然の豊かさに支えられ、心を揺さぶられる、そのような生き方ができるように、今私たちが自分にできることから少しずつ環境のためのアクションを起こしていきたいですね。

 

 

    Sasaki Miku

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